人・キャリア
update:2024.08.27
インターネットが普及し始めた1999年、業界でいち早く、インターネットを活用した集客戦略に注力するなど、業界の常識にとらわれない挑戦を続けてきたリブワーク。従業員4人の熊本の小さな工務店から、今や従業員300人以上を抱える上場企業へと成長を遂げています。この成長の秘訣を瀬口力社長にインタビュー。今後の展開やその事業にかける想い、これからのリブワークに必要な人材などを語ってくれました。
父が創業した町の工務店の跡を継ぎ、社長に就任した1999年から業界ではいち早く、「インターネットで家を売る」を目標に掲げ、数々のデジタル戦略を打ち出してきました。少しずつエリアを広げ、現在は熊本をはじめ、福岡、大分、佐賀、千葉で住宅事業を展開する会社にまで成長しました。今後は全国への店舗展開を進めるのではなく、当社がこれまで実践してきた成長ノウハウを日本全国の素晴らしい技術を持つ工務店にも提供していきたいと考えています。他社と一体となって世の中に良い家づくりを提供していきたいですね。
私たちの成長の源泉であるデジタル戦略や数々の人気ブランドとのコラボ住宅展開などのノウハウを全国の工務店に広げていきます。今、集客に苦戦している住宅事業者は非常に多い。新型コロナウイルスが5類に移行後、モデルハウスに行かないというお客さまの行動変容が起き、集客に苦戦する住宅事業者はますます増加しています。今、私たちの集客の柱であるデジタル戦略とコラボ住宅のノウハウを提供することで、集客コストの削減と集客力アップにつなげてもらいたいという思いです。集客力を高めて工務店さんにはお持ちの素晴らしい技術をさらに発揮していただくことで、ますます、そのエリアになくてはならない存在になっていただきたいと考えています。
現在、Afternoon Teaや無印良品、niko and ... とコラボした住宅を展開しています。それぞれのブランドの世界観に包まれた空間の中で豊かな暮らしを実現できるコラボ住宅は非常に好評です。2023年には、niko and ... を運営するアダストリアと提携し、住宅メーカーや工務店向けの新商品「niko and ... EDITHOUSE(ニコアンドエディットハウス)」を立ち上げました。これは業界初のIP(知的財産)ライセンス販売を行う商品で、全国の工務店がニコアンドのブランド力を使って事業を展開できます。せっかく素晴らしい技術力をお持ちであっても、集客できないのは非常に悔しい。当社も工務店時代には、大手メーカーにブランド力で勝つことができず悔しい思いをたくさんしました。当事業は、ニコアンドのブランド力で集客でき、工務店が今苦戦している点を補えるシステムです。非常に好調で、年内には全国12カ所にモデルハウスをオープンする計画です。
最大のメリットはやはり集客力ですね。資材の高止まりもあり、お客さまの予算の中で要望に合った家づくりを実現しなければならず、利益率が下がっている工務店も多い。IPライセンス事業とデジタル戦略を活用することで、集客コストの削減と業務効率化を実現できます。お客さまに対して付加価値の高い住まいを提供できると好評です。
22年には工務店などの住宅事業者に、住宅プランを提供するサブスクリプション(定額制)のサービス「マイホームロボ」を開発しました。世の中にある住宅プランをデータベース化し、お客さまがアンケートに答えると、自動で瞬時に要望にあった間取りを提案してくれる画期的なサービスです。月額6万8千円で利用でき、業務効率化と提案力の向上を実現できると非常に好評ですね。先日開いた当サービスの説明会には全国各地から50社ほど参加していただき、参加者からは「安い!」という合いの手が入ったほどでした(笑)。しかし、それほど皆さん、設計士不足に悩まれています。私たちは同業だからこそ、皆さんの苦悩も分かる。これまでにもさまざまな課題を乗り越えてきました。今後もその経験を活かし、同業だから分かる、私たちにしか提供できないサービスを開発していきたいと考えています。
今年8月には、千葉市にベルメゾンデイズハウスとコラボしたモデルハウスを完成しました。ベルメゾンの持つ通販ノウハウも生かし、“家の通販”にも挑戦中です。
また現在は、熊本に本社を置く漢方の製薬会社・㈱再春館製薬所とコラボ商品を開発中で、年内にはモデルハウスをオープン予定です。他にも、ある繊維メーカーと提携し、木材や鉄、コンクリートに代わる新たな住宅素材の研究開発を進めています。開発中の素材は、軽くて強靭な素材です。この素材に代替することで、今まで実現できなかったデザイン性の高い住まいが実現できると期待しています。これらにおいても、建築以外の分野であれば、先進的なモノが数多く開発されていますが、相変わらず、建築の分野は進化が遅い。最新鋭の素材の開発など、他社と連携しオープンイノベーションで取り組んでいく考えです。
YouTubeの会員登録者数は10万人を突破しました。銀の盾もさっそく届きましたよ!
当社のYouTubeファンは多く、YouTubeを見て契約にもつながっています。先日も動画を活用して建売住宅の販売を行いました。動画を見た問い合わせも多く、実際に契約につながった物件もありました。今後は、マーケティングに関するさまざまなサービスを提供していきたいと考えています。今後は、動画による住宅販売にもチャレンジしたいですね。
今年1月、約3年間の開発期間を経て、国内で初めて、土を主原料にした3Dプリンターハウス「モデルA」が完成しました。問い合わせは非常に多く、注目度は高いです。年内には通常の住宅と同等の広さの100㎡規模の平屋建てのモデルハウス「モデルB」を完成させる計画で、現在、研究開発を進めています。来年から「モデルB」の販売も開始予定です。
人手不足が深刻化していく中、ある一定程度の自動化を進めていかなければ、住宅建設にかかるコストは上がっていく一方です。3Dプリンターハウスは、この問題を解決する有効な手段の一つで、ものすごく可能性を感じています。来年はいよいよ、100㎡規模の3Dプリンターハウスの販売開始です。実現すれば、日本初の土を主原料とした3Dプリンターハウスを展開できることになるので、非常に楽しみですね。
フランチャイズ展開も視野にいれています。3Dプリンターハウスを開発するにあたり、一番苦戦したのはデータ開発でした。このデータ開発は非常に難易度が高く、これをクリアできなければ、3Dプリンターハウスを建設することは困難です。このデータも加盟店に提供するという形で、全国に当社が開発した3Dプリンターハウスを展開していきます。世界にもこの住宅を広げていく計画で、すでに東南アジアへの視察も進めています。
また、宇宙開発への取り組みも始動します。年内には、月での持続的な人類活動の構築を目指す「アルテミス計画」において、私たちにもできることはないかと、有識者の方たちとコンソーシアムを立ち上げる予定です。
私たちはこれまでにも、突拍子もないことを考え、実行し、成長へとつなげてきました。ぜひ既存の概念に縛られない方々に入社していただきたいですね。
99年に私が社長に就任した時もそうでした。当時、私が「インターネットで家を売る」と言った際も、周囲からは「そんなこと実現できるわけがない」とよく言われたものでした。しかし今では、インターネットの集客に成功し、家の通販までも始める企業へと成長しています。今、「宇宙開発をやるよ」と言うと、周囲はまた、「突拍子もないことを言っている」と思うかもれません。しかし、これは将来的には必ず実現する時が来ます。実現を信じ、熱意をもって入社してきてくれる人が今当社の求める人物像です。
他社の話を聞くと、上司はたいてい否定から入るということをよく耳にします。しかし、当社は違います。否定するのではなく「まずやってみよう」というのが当社の社風です。私はこの文化を非常に大切にしています。チャレンジもせず、実現できない理由を並べることは簡単なことだと考えています。福岡証券取引所への上場の準備を始めた際もそうでした。「ここができていないから上場できない」など、上場できない理由をたくさん並べられたことをよく覚えています。私はそこであきらめるのではなく、「上場できない理由はいらないから、どうすれば上場できるかを教えてほしい」と伝えました。私は、できない理由を並べるよりも、どうすれば実現可能かを考え実行する方が有意義だと考えます。ぜひ、失敗してもいいからチャレンジを恐れない方に入社していただきたい。そのような方が当社の価値観にもとても合うと思います。
会社の成長に人が追い付いていないという課題もあり、これまでは人材育成にも時間が割けず、中途採用に力を注いでいた時期もありました。しかし、やはり企業にとって大切なのは「人財」です。現在、新卒社員のようにゼロからのスタートであっても5年間でマネジメントできる人材に育てることを目標とした育成プログラムを策定中です。プログラムでは、大学のように講義を履修して企業理念やビジョンの理解度を計る試験やレポート提出なども実施。合格したら次のステップに進めるなど評価を“見える化”して、人材を育てる環境を整備していきます。昇格・昇給においても成果だけではなく、資格取得や人間力などトータル的なところで評価していきます。住宅に関する知識が少なく、学生の方や異業種の中途採用の方など入社が不安な方も多いと思います。ただ、このカリキュラムを受講することで、リブワークの仕事への理解度は深まるので安心してもらって大丈夫です。
21年にSDGsへの取り組みの一環として、15年間で年収を2倍にするという「所得倍増計画」を提唱しました。残りの12年ですので実現に向けて取り組んでいます。その一環として、今年は新入社員も含めて賃金アップを図り、来年も実施予定です。
今後、この所得倍増計画を実現するためには、生産性の向上が必要不可欠になります。そのためにも生成AIの活用は非常に重要で、AIの活用なしには企業の成長はありません。今期は業務効率化と新規事業なども含めて1年間かけてしっかりと生成AIを絡ませ、事業展開できる仕組みを確立していきます。どこよりも早いAIの活用になるのではないでしょうか。生成AIには賛否両論ありますが、活用することで可能性は無限に広がります。インターネットがまだ主流ではなかった時代にインターネットを活用することで、さまざまな成長を遂げた企業が多数あるように、可能性を秘めたAI活用にいち早く取り組んでいきます。活用することで、仕事の仕方がガラリと変わってくると期待しています
まずは社内イントラネットも生成AI「チャットGPT」を活用し開発したいと考えています。社内規定などについても質問すればAIが答えるシステムを整備していけば、迅速に回答が得られるほか、今まで質問に答えていた総務の負担も減るなど業務効率化につながります。将来的には、上司もなくしたいですね。すべての質問には僕が答えるというAI社長もつくっていきたいんです(笑)。また、AIの営業マンもつくりたいですね。人には聞きづらいことも、AIだと聞きやすいことがたくさんあると思います、このようにさまざまなことにチャレンジしながら会社を成長させていきたいですね。
会社を成長させるための戦略を考えることは非常に楽しく、時間が足りないですね!今後は6次産業化にも取り組みたい。家づくりに使用する木から育て、家づくりのテーマパークをつくりたいという思いもあります。また、スターバックスコーヒーやディズニーとコラボした商品開発や街づくりなど、たくさんの夢を抱いています。これまでは私の発想から生まれてきたビジネスモデルが多かったのですが、今後は社員からたくさんのアイデアが生まれて、新規ビジネスにつなげていきたいですね。将来的には100人の社長を生み出していきたいんです。